多様な発想支援士養成講座
開催するにあたって私たちの思い

青山先生との出会い

「子どもたちが幸せになれるようなインクルーシブな事業がしたいのですがご協力いただくことはできますか?」

2018年まだ感染症が広がっていなかった頃、私は広島市内の会場へ青山新吾先生を講師としてお呼びしていました。お昼のお弁当を一緒に食べながら、私は恐る恐る青山先生にお伺いしたのです。

青山先生は二つ返事で快諾してくださり、ここから私たちの新しい活動が始まりました。

途中、私が(NPO設立から無理を重ねていたこともあり)体調を崩したり、青山先生が多忙となってしまったり…

私たちの思いを形にしようとすればするほど煮詰まってしまったりして、途中空白期間もありました。

青山新吾先生
青山新吾先生

オンラインで岡山と広島で少しずつ形に

2021年ごろ感染症を機に青山先生と私はブレーンストーミングから再開しました。

1年くらいかけてコンセプトに基づいた構成を整え、事業名を決め、それから形にするまでには更に1年くらいかかってしまいました。

自分の苦い経験が原動力

どうして、こんなに時間をかけてまで、私はインクルーシブな学校や社会をつくりたいのだろうか?と改めて自分に問うてみました。

私自身の生い立ちに、今の子どもたちが重なることが多くあるということが見えてきました。

私が子どものころ、家庭でも学校でも社会でも普通になれるように(みんなと同じことができるように)育てられました。それが嫌だと思いながら毎日を過ごしていました。

母になって気づいたこと

その後、私も母になり子育てをしているとき「この社会でやっていくには、みんなと同じようなことをする方が生きやすいんだよ」と、自分の子どもに普通を強要しようとしていたのです。

差別や偏見のある一般的な考え方や普通のやり方だったとしても。

それは大きな間違いで、子どもを苦しめることになるのだと私はあるときハッと気づきました。

そして、みんなで同じようなことをするというのは決して幸せなことではないと気づいても、一足飛びにはいかないということも随分、経験してきました。


子どもだけでなく大人も救えるのではないか

実際にはどんな状態を普通というのか、具体的に知ることはとても難しいものです。

私たちは自分自身を基準に他人を普通か普通でないかに分けたり、私たち大人の都合で子どもたちに私たちの基準に合う普通を求めたりしているように思います。

そのため、子どもたちは持って生まれた良さを表現するどころか、自分ではない「周りの大人たちが希望する他人を表現して生きているよう」に感じられてしかたありませんでした。

ありのままの自分を認められず大人になっていかざるを得ない子どもたちを、次第に私は何としても救いたいと思うようになっていきました。

それは同時に私自身だけでなく多くの大人たちをも救うことができるのではないか。


まずは自分自身を多様な発想ができるように変えていこう!

青山先生とスタッフとで何年も試行錯誤しながら、少しずつ形になってきました。

その結果、子どもたちがありのままの自分を好きになって、自分は「大丈夫なんだ!」と言える、幸せな大人になっていけるよう手助けする人を『多様な発想支援士』と呼ぶことにしました。

そのような思いがつまった『多様な発想支援士養成講座』をようやく世に出すことができるまでに至りました。

人と人がゆるやかに繋がっていき相互承認のある社会をめざしていきたいと思います。

全国から多くの専門家が集結

この講座を作成するにあたり、全国からインクルーシブ教育や特別支援教育の研究者、インクルーシブな発想で社会活動をされている方々、インクルーシブな実践をされている起業家の皆様などにご尽力をいただきました。

そのおかげで、多様な発想支援士養成講座は2023年4月1日から開始する運びとなりました。

この場をかりて、ご協力いただきました多くの諸先輩方にお礼を申し上げたいと思います。

この他にも多くの専門家の方々のご協力をいただいています
この他にも多くの専門家の方々のご協力をいただいています

多様な人々がゆるかやに繋がっていき、誰もが違うということを受けとめ、子どもたちが幸せを感じながら大人になっていけるようみんなで考えていける場となることを願っています。

2023年3月吉日

NPO法人日本インクルーシブ教育研究所

理事長 中谷美佐子